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杏林大学医学部附属病院

主任教授挨拶

杏林大学高度救命救急センターの歩み

主任教授

 「日本一の救命救急センター」、これがこれまでの杏林大学高度救命救急センターの目標でした。
「日本一とはなにか」といえば、それは圧倒的な臨床能力と、実績、そしてアウトカムです。そしてこれは、今日達成されているようにと思われます。年間4万件の救急患者数、1万台の救急車、2千件の3次救急患者数、行政的には、厚生労働省の救命救急センター評価で常に国内トップに位置づけられています。また、アウトカムについては外傷、中毒、敗血症など、レジストリーが行われているものについては、トップレベルの評価を得ていますし、熱傷については、東京都熱傷協議会に参加している救命救急センターにおけるLD50が%TBSAにして約40%、PBIにして100なのに対し、当救命救急センターのそれは、それぞれ、80%台、130以上と圧倒的な成績を示しています。

※LD50(半数致死量)、TBSA(熱傷面積)、PBI(熱傷予後指数)

われわれにとっての「日本一」

これらは初代の松田理事長、先代の島崎修次教授の功績であり、いわば歴史的な勲章、大切な財産です。しかし、私にとっての日本一はまた違う側面を持っています。それは、「組織(軍団)としての」評価です。私はこれまで国内外の救命救急センターで仕事をして参りましたが、わが軍団ほど、スタッフ相互の信頼感が厚く、お互いの専門科としての資質を尊重しているところはないと思っています。救急のチームは、『7人の侍』や『水滸伝』のように、背中合わせで、多数の敵と闘うような闘い方ができるスタッフで構成されていなければなりません。この意味で、わが軍団は日本一の軍団であると自負しています。

3つの目標

3つの目標

ひとつ目は、「先進性」です。命を救う医学としての誇り、そしてその分野を切り開いていく先進性に寄与しなければなりません。その一例が、間葉系幹細胞による熱傷・外傷治療であり、心臓マッサージ中の心電図解析システムです。
 二つ目は、「クオリティ」です。たとえば、外傷はとことん低侵襲で、かつ機能予後まで追求した治療戦略をとっています。LD50を越えるような広範囲熱傷でさえ、単なる救命にとどまらず、社会復帰後を視野に入れた機能性、整容性を追及します。
 三つめは、「公共性」です。救急崩壊、医療崩壊はどこに本当の問題があるのか?秋葉原事件で話題になった「トリアージ」は何が問題なのか?など、社会との接点、窓口の役割を果たすのは、社会医学的な要素の大きい救急医学です。きちんと自分の言葉で語れる論客の集団でありたいと考えています。

いっしょにやりましょう

多くの救命救急センターが新たな人材確保に苦慮している中にあって、杏林大学高度救命救急センターには若い熱意漲る仲間がどんどん加わってくれています。ぜひ、あなたもわれわれの仲間となって、家族や、伴侶、そして子どもに自分の生き様を誇れる医者になろうではありませんか。

災害対応等に関する主な活動

平成7年4月 米国ハーバード大学The Harvard Forum on Disaster参加
平成8年4月 米国ボストンマラソン Mass-casualty program 参加
平成9年2月 フィリピン国際緊急保健医療援助研修(WHO)
平成11年10月 日本東海村臨界事故被ばく患者の治療を担当
平成12年2月 米国エネルギー省REAC/TS 放射線災害研修
平成12年3月 米国ハワイTripler Army Hospital 特殊災害訓練参加
平成12年7月 九州・沖縄サミット医療対応(外傷チーム)
平成14年9月 米国臨床中毒学会 advanced HAZMAT life support 研修
平成15年2月 英国大規模災害対応研修(MIMMS)
平成15年8月 中国チチハル 旧日本軍遺棄化学兵器(イペリット・ガス)事故対応
平成16年10月 新潟中越地震医療対応
平成16年11月 日本美浜原子力発電所事故調査
平成20年7月 北海道洞爺湖サミット医療対応(首脳対応チーム)
平成22年11月 第22回APEC首脳会議医療対応(首脳対応チーム)
平成23年3月 福島第一原発3号機への注水作業に帯同(東京消防庁)
同年4-8月 福島第一原発事故医療対応委員長(日本救急医学会)
平成23年8月 ロシアハバロフスク 石油化学工場爆発火災事故医療対応

教室について

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